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大日本帝国は、何世紀にもわたってすこしずつ頽廃と崩壊をつづけていた。だがその事実を理解している数人の人間もまたここにいた。帝国の滅亡を回避するだけでなく、さらにそれを第一銀河帝国へと発展させるために必要な学問 「心理歴史学」 を完成させるため、我々は日夜文化と人間への探求を進めるのだ!!
Posted by - 2024.04.26,Fri
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Posted by watanavader - 2007.12.20,Thu
Litt wrote :

個人的な話で申し訳ないけど、繰り返す徹夜の果てに潰しても潰しても減らないゴミ屑のような仕事や、時ならぬノロウィルスの猛襲を乗り越えて、やっとこの話をすることができてとても嬉しい。

時は来たれり。遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ!大げさ!
でもそれくらい良いマンガでしたよ二冊とも。んじゃまずはアストロシティから。


Astro City : Confession

 細かなエピソードの連なりがシティ全体の世界観を美しく紡いだ1巻に比べ、ストレートかつ骨太!にヒーローの「あるべき姿」を描いた、シリーズの邦訳二冊目。最終一話以外は、表紙にも描かれた「コンフェッサー」と「オルターボーイ」のお話で構成される。前巻よりも本気(マジ)な姿勢は、「ヒーローの誕生」あるいは「継承」?といったテーマからもうかがえる、ような気がします。

お話は、ざっくり言うと田舎町からバスに揺られて都会(アストロシティ)に出てきた天パの少年が、父とは違う生き方を求め、ヒーローと出会い、理想を失い、「○○○」を獲得するまでの物語。この主人公の少年が、あんま笑わないんだよね。いや笑う場面はあるのだけど、大抵は若者らしく渋面作って悩んでらっしゃる。彼にとってはもう一人の父、とも言えそうなコンフェッサーとの場面においても、笑顔を交わすようなことはほとんどなくて、虚栄心や憧れ、成長の喜びや焦りといった感情のかずかずがめまぐるしく交錯する少年の内面が、その重苦しい表情によく表れています。

少年がなぜヒーローになりたいと思ったか、という部分にその悩みのそもそもの要因があって、それは結局「誇り」ということじゃないかな、と思った。本当は、自分とその直接のルーツである父親に胸張って誇りを持ちたいのに、周囲はその父(=作品における「ヒーロー」の暗喩)を理解しようとせず、むしろ軽蔑されていたりする。ストーリー中でも、ひとつの事件をきっかけに、アストロシティのヒーロー達はどんどん株を落として、民衆の人気を失い、ヒーロー活動を制限される(当局にタイホされる)という事態に陥ります。そのからくりが暴かれる場面がこのエピソードのクライマックスになり、そこで実現される「ある事」が、少年を変え、事態をべつの方向へと導くきっかけとなります。

はっきり言って、このマンガの戦い自体はとても地味だ。宇宙規模の陰謀っつってもわりとスケール的には小さいし、あんだけヒーローが出てくるにも関わらず、能力合戦みたいな見せ場はほとんどない。そういったネタ的な部分はむしろ1巻が担っていて、でも、じゃあなぜ2巻でもそれをやらなかったの?と思う人だっているだろう。それはきっと、今テーマの焦点をブレさせないためだ。本来コミックスにとっては「おいしいトコロ」なはずでもある、派手な戦闘場面や超がつく程の個性的なキャラをあえて封印してまで(主人公のコンフェッサーとオルターボーイはとても古典的なアメコミヒーローの姿をしている。というかバットマンとロビンに見える)作者のカート・ビュシークが言いたかったのは(逆説的に聞こえるかも知れないが)、「本気でヒーローやってんだ。パロディじゃないんだ」ということじゃないだろうか。

大きな戦いが終わり、ある場所を訪れた少年の顔に、やっと初めての笑み(本当の意味での)が浮かぶ。
誤解や、はりつめていた緊張や、認めたくなかったある心情を乗り越えて、何かを得た男の顔がそこにある。もうここ!すごくいいカットだと思うんだよね。で、前述の「○○○」です。少年が得たものってなんだったのか?それは「救い」だったり「赦し」だったり、あるいは「人生」だったりするのかも知れないけど、無理して何かの言葉を当てはめる必要はない気もする。俺にとっては何か、は言えるけど、それが他の人にも当てはまるとは限らないしね。

サブタイトルの「コンフェッション」を辞書で引いてみると、「罪の告解」や「懺悔」といった意味であるらしい。「コンフェッサー」は懺悔する人?うんなるほど。
人は弱いものでもあり、内に何らかの罪や、後ろめたい思いを抱えているものだ。だがそこに挫けず、過去への忸怩たる思いだけを断ち切って、全部抱え込んだうえで、自分の人生を戦ってゆく。そうした「決意」あるいは「覚悟」が、エピソードの最後のページ、もうボーイではないボーイの台詞(&姿)に完全に表現されている。ヒーローマンガとして、これ以上のしめくくりはないだろうと思わせる、見事な終わり方だと思うのです。
それにしてもこのサブタイ、悲しすぎるよネ。

シリーズの続刊に関して、ひとつ心配なことが…。2巻の最終エピソードである事件が綴られるのだが、あのさ、サマリタン、大変なことになってね?おれこいつの1巻の話が一番好きなんだけど…と思って本家のサイト見たら、エンブレムっぽいマークの、ちゃんと中心になってたから大丈夫かな?これ「ヒキ」ってやつですか?釣られちゃった?俺。


やーこんなに書くことあると思ってなかったんで…YEAR ONE はまたこんど。すみません。
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Comments
向こうでは5巻まで出てんのな
confessorは
1 悔悛者の告白を聞く司祭,聴罪司祭, 聴罪師.
2 告白[自白]者.
3 証聖者;殉教しないで信仰を守った人.

と辞書にありますね。こん中だと3番目が泣きどころでしょうか。長文お疲れです。「year one」の感想も待ってます。
Posted by watanavader - 2007.12.20,Thu 11:16:52 / Edit
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