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大日本帝国は、何世紀にもわたってすこしずつ頽廃と崩壊をつづけていた。だがその事実を理解している数人の人間もまたここにいた。帝国の滅亡を回避するだけでなく、さらにそれを第一銀河帝国へと発展させるために必要な学問 「心理歴史学」 を完成させるため、我々は日夜文化と人間への探求を進めるのだ!!
Posted by - 2017.10.18,Wed
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Posted by watanavader - 2007.12.25,Tue
Litt wrote :

BATMAN : YEAR ONE

誤解を恐れずに言えば、バットマンってすごいネガティブな奴じゃないですか。
いや直球過ぎる感想だとは思うんですが、影の濃いというか、暗黒めいた力強さや、美しさとかを持ってるってそうゆう印象。ヒーローになった動機も暗いしさ。でもただそうゆう人は他にも少なくないようで、ハルクとかもロクな生い立ちじゃないし(映画しか観てないです)、マーヴルの人たちなんか皆大概、悩みやらトラウマやらを抱えてるんでしょう?そんなダークなヒーロー達が乱立する世界でも、際だつ黒さを身にまとい、“DARK KNIGHT”という称号をさえ与えられるバットマン。なぜだろう?

ブルースという男が、半分死んでる、というのはあると思う。食べてゆく心配のない、どころか何事をもなしえる莫大な財産があり、頭が良く頑健な身体と美貌を持ち、申し分のない家柄で幼い頃から社会にとても期待される存在で、しかも少年の頃両親を目の前で惨殺された、という人は、気が狂うか半分死ぬしかないだろう。希望と絶望の振幅が大きすぎるからだ。って理由付けは陳腐に聞こえるかもしれないけど、だからこそあそこ(YEAR ONE 本編参照)まで自分を追い込み、「死ぬか、生きるか」という場所でしかヒーローとしての自分を誕生させ得なかった、という所にバットマンのリアリティがあると思う。
改造手術とか遺伝子操作を受けたり、宇宙放射線やなんかを浴びたわけでもない。自ら望んで異形のモノになった男だから、普通の人間なのに、スーパーマンと渡り合えるぐらい強い。それは「意志の強いヤツが強いのだ」という、ある意味でとてもアメリカ的な考え方の体現でもある。ブルース・ウェインの光溢れる人生から生み出されたもう一人の人格は、もとの分身に見合うくらいにパワフルな影を持っていた、というわけだ。そうしたブルース本人の中のバランスとは別に、バットマンという「影」の存在を強烈にあぶり出す、もうひとつの力強い光源とも言えるキャラクターが、このシリーズには存在する。本編のもう一人の主人公、ジェームズ・ゴードンその人だ。

半分死んでて、人間としてのプライベートな部分をほとんど描かれないブルースに対して、ゴードンに関する描写は、この“YEAR ONE”でも先の“DARK KNIGHT RETURNS”や“KILLING JOKE”においても、実に細かく、時にちょっと気の毒なくらいに微に入り細をうがつ。子供を持つ事への不安、老いへの不安。夫婦関係の軋み、果ては職場不倫や妻の自然食品愛好に関するあきらめ混じりの苛立ちなど、中年男の悩ましい輪郭が深く刻まれたその姿は、ただの単細胞な正義漢ではない、汚れや罪深さを併せ持つ、多面的で、それでいて不器用で、生きることに必死な男として描かれている。まったく、マンガのいちキャラとしては複雑すぎる人間性。
とある識者をして、「YEAR ONEを読めば、KILLING JOKEでジョーカーにやられたぐらいの事じゃ、ゴードンが音を上げたりするような男じゃないってことがよく分かる。あいつは筋金入りさ」と言わしめた彼の強靱さは、こうしたキャラクターの厚みによってもたらされたものといえるだろう。警官として、仲間の汚職や凶悪事件とも戦わなくてはいけない。銃を持って子供を人質に立てこもったラリパッパを丸腰で鉄拳制裁。同僚から受けるリンチにも冷静に対処、ほどよくリベンジ。バットマンというヒーローが背中を預けるに足る、タフでクレバーで強い男。そうでなければ、ゴッサムシティの警部補(警部に昇進)は勤まらないのだ。彼の照射するなまなましい「生」の光線が、ゴードンの影、=バットマンを鋭く浮かび上がらせる、という構造が、この作品には欠かせないものになっている。

ウェインとゴードン、二人の「コンビ」が結成されるラスト、夜空に点る、巨大なバットライト…とかいったような演出はない。だいいち、ウェインはバットマンの格好すらしていない。そっけない会話が交わされ、お互いを分かり合った二人の男が、それぞれの場所へ帰る。それで十分だ、といわんばかりのシンプルでけれんみのない終幕は、これ以降のストーリーのふくらみを予感させて素晴らしいです。

完全に余談ですが、YEAR ONE、今まで読んだアメコミの中で、一番グラフィックが好き。フランク・ミラー自身の絵もすてきだけど、マズッケリさんの描くちょっとぽってりした線がまた。あとカラーリング、芸術の域じゃね?シーン替わりでの左右のページの色味の塗り分けしてるところなんか、鮮やかで悶えます。着色そのものは、原色使わない、渋かったり淡かったりの微妙な色合いなんだよねぇ。巻末の付録にあった、線画と独立した彩色原稿は、あれだけで一枚の絵として成立してる。あと単行本化以前の、新聞紙に印刷されたコミックブックの時点での彩色も素晴らしい。むしろアレで読みたい、くらいの感じです。リッチモンドさん、ゴッジョブ!(GOD-Job!)
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Comments
パルプって感じで
紙質の悪い紙面であの色調は確かにいいなー。てゆうか単行本に纏められる前の刊行物なら普通にそんな感じなのか。古本で流通してるかも(原語ですが)

なかなか熱の入った感想ありがとう。面白かったよ。コレ読んだ後だとビギンズのゴードンでは満足できん。ゲイリー・オールドマンは割といい雰囲気なんだけど、アレは昔の「人がいいが無能気味」な昔のゴードンのイメージなんだよね。鋼の男ゴードンが映画で観たいぜ。
Posted by watanavader - 2007.12.25,Tue 19:41:54 / Edit
いっぱいあんじゃん
アマゾンで調べたらペーパーバック一杯あったw。原語ですが。
Posted by watanavader - 2007.12.25,Tue 19:44:02 / Edit
そうそうパルプパルプ
いっぱいあんのかーw。
でもほんとに全編あの色味で読んでみたいよにゃ。
あとこんだけ書いてアレなんすけど、僕もそろそろ「ビギンズ」観ます。。。
Posted by Litt - 2007.12.25,Tue 20:54:51 / Edit
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