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大日本帝国は、何世紀にもわたってすこしずつ頽廃と崩壊をつづけていた。だがその事実を理解している数人の人間もまたここにいた。帝国の滅亡を回避するだけでなく、さらにそれを第一銀河帝国へと発展させるために必要な学問 「心理歴史学」 を完成させるため、我々は日夜文化と人間への探求を進めるのだ!!
Posted by - 2019.09.20,Fri
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Posted by watanavader - 2007.08.04,Sat



Litt wrote:

『虐殺器官』 伊藤計劃 著 ISBN:978-4-15-208831-4

「世界はどうしてこうも不公平なんだろう?」

誰もが人生の途中で一度は考えるだろう疑問をテーマに、その解決法(?)までをぐにゃっと(ズバッとでなく)提示する近未来軍事SF。以下ネタバレ含む、かもしれないので未読の方はご注意ください。

まず、ストーリーの核となる「虐殺文法」のアイデアは(多少の無理があるとしても)とても面白いし、それにまつわる遺伝子やミームや言語といった事柄に関した講釈は、読んでてすごく勉強になる。豆知識を増やす事だけが勉強じゃないんだなあ、と個人的な反省もできました。

キャラクターの造形も細やかで、主人公のセンシティブな一人称がまったく鼻につかず、それ自体が結末への伏線の機能も果たしてるように感じる程。こういう小説っていかに登場人物が類型化されずに描けてるか、で面白さが全然違ってくるんだけど、途中で醒めることなく読み続けられました。特にジョン・ポールの設定なんかはものすごく微妙で、下手すると、この小説の求心力である彼に興味を失ってしまう可能性もあったと思う。そこらへんを丁寧に描き込んでるところがいいなあ、って思います。

で、また文章が上手いんだ。残酷な描写の場面でも、けして訳知り顔で書き流さないというか、痛みをしっかり感じ取れるような、急がずあわてずのテンポを守る。そして、AKAのAの字も知らない、軍事や銃器の分野に疎い僕でもすいすい進める。ナイーブなモノローグではあるんだけど、センスフルでもあるって感じで。第1発言者watanavaderいわく、「チャック・パラニュークぽい文章」ということなんだけど、パラニューク読んでないからわかんねえ。でも悲惨な割に爽快感の漂うラストはちょっと「ファイト・クラブ」を思わせるかも。

じゅうぶんホメたと思うんで、残念方面にもタッチしとこう。あくまで個人的な残念方面です。
えっと、ヒロインの登場時間少なくね?すごく魅力的な女性ぽいんだけど、そこがもうちょっと伝わって欲しかったかなーと。言葉というものにこだわりを持つ主人公が、彼女に惹かれる、そのことはわかるんだけど…というむずがゆさが残ってしまって。

丁寧なんだけど、彫りが深い、とまではいかないのはクラヴィス(主人公)にもジョンポルにも言えることで、たとえばジョンポルのもろもろの出来事を起こすことになった動機にしても、「そっちに行くか?!」って感じで、凡人の眼からすると発想の飛躍してる感はわりとある。でもまあ、彼は言語のスペシャリストで、そういうやり方を見つけてしまったわけで。…でも彼が個人的に「愛する人」なんて、この世界にはもういないんじゃ?
…むずがゆい。

あとクラヴィス、あんなに感じやすい男があそこまで過酷な仕事を続けていられる理由がやっぱわかんねえ。でも世の中には実際にああした職に就いてる(&知性的な)人もいるわけで、そういう心理が単純に僕の想像力の埒外、ということがまずあると思う。続けていられたのは、適性があった、ということなんだろう。軍に入った理由のあたり、十分ではあるとおもうのだけど、さらにもう少し掘り下げてくれてたら、物語の最後に彼がとった行動にも、もう一歩の奥行きが広がったかもしれないと思いました。

「プライベート・ライアン」や「マッドマックス」、スターバックスにFEDEXといった資本主義的固有名詞の氾濫は多分意図的なもので、近未来の小説の中と同様、罪深い大地の上に生きている僕ら現代人へのある種のうながし、地続き感の強調といったらへんが埋め込まれてるんだと思う。それは成功してるんだけど、誰かがアマゾン(これも登場したな、たしか)のレビューにも書いているように、藤原豆腐店のトラックはちょっとやりすぎ。笑えなかったなあ。

まあでも出来が良いから(好きだから)アラも見える(ように感じる)し言いたくなる、という種類のものなので、伊藤氏の次作には期待します。何様だよ俺。でも次もやっぱ軍事モノなのかなあ。もちっとSFSFしたのも読んでみたい気がするなあ。高くても買うからさ、どーですかいとーさん?!
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ここは二人の人間が管理してます。
第1発言者のwatanavader、
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基本Posted by watanavaderで、Littが発言する場合には“Litt wrote:”とことわりを入れる体裁をとっています。日夜文明の崩壊を回避する為、心理歴史学を駆使して世界を影から支えております。
(注意・心理歴史学はSF小説「ファウンデーション」に登場する学問です)
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